2014年1月16日木曜日

第9回商店街うんちくツアーの結果報告(3) DECO-BOCO(デコボコ)


 「タカハシガレーヂ」を出た一行はこのあと、工場の中を通って次のDECO-BOCOへ向った。
 正面の建物が同社の工房。

≪DECO-BOCO≫
久島:北欧の古い家具をメインに修理して販売している会社です。
年に4,5回、現地に買い付けに行っています。1950年代から1760年代、70年代の、いちばん良い材を使っている時代の家具、そして北欧の良いデザインの物を買ってきて、新しく気持ちを入れてメンテナンスをして販売させてもらっています。

お店は元浜町、第2合同庁舎の前の小さな店でやらさせていただいていますが、全部は置けないので、カタログ(ホームページ)などを見て選んでいただき、気に入ったものがあればメンテナンスをして買っていただく、というのが大体の流れです。
デンマークとスウェーデンがメインで、ほかにオランダやベルギーからも買い付けております。

 だいたい1960年代のものが多くて、その当時売られていたチークのものがほとんどですね。チークと言ってもすべて無垢というわけではなく、チークの原木を何ミリという薄くして張ってあるのが北欧の家具のメインです。縁などにはチークの無垢を使うというのが、基本的な北欧家具なのです。

参加者:お客さんから持ち込まれた家具の修理はしているのでしょうか。

久島:修理を行ないますとは謳っていませんが、受ける場合もあります。どういったものかによります。
 メンテナンスのやり方にはいろいろございまして、上からちょっと削ってオイル入れて終わりというのもあります。これなら1日で終わってしまいますが、うちでは、すべて塗装をきれいに剥いで、分解してやっていますから、かなりの日数がかかるわけです。
安く買ったものを持ってきて修理してほしいといわれる場合もあるのですが、その分、高くなりますよというお話をするのですが、是非ともというお客様もいらっしゃいます。

参加者:中古の北欧家具を仕入れるためのマーケットがあるのですか。

久島:マーケットというよりも、こういうものを扱っているディーラーさんがあちこちにあって、そこで一つ一つ家具を吟味させていただいています。
寒いわ、暗いわ、ピッチリくっつけて並べているわ、上に重ねて重ねて置いてあるわで、大変なところです。
 そんな所に私一人で買い付けに行き、ライトを照らしながら見て決めるのですが、横は見られないとか、下が見えないとか、それでも決めなければいけない時間との戦いもあります。

参加者:1回にどのくらい購入してくるのですか。

久島:だいたいこの部屋の半分くらいの分量です。

参加者全員:へぇ~~~!

久島:よく街中を走っている40フィートのコンテナを見かけますが、だいたいあれの半分のサイズのがありまして、いつもそれに満タンで購入してきています。
船で2ヶ月くらいかけて東京港へ運び、そこから山下ふ頭まで運んでもらい、さらに私が2トン車を借りてここまで5回ぐらいピストン輸送をしています。

≪このあと作業現場を見学≫

黒柳:こういう家具は引き出しが重要です。木は湿度の違いによって伸び縮みしていますから。
ヨーロッパと日本では湿気が違いますよね。ヨーロッパの安定した湿度から、日本の四季があって湿気の差が大きい所へ来るので、伸び縮みがあるのです。
ですから日本の気候に合わせて、引き出しや扉を微妙に削ったりして調整し、日本のどこに行っても使える状態にしています。6月でも引き出しがきつくならないように調整しています。

参加者:うちの家具がきしみますけど、それも湿気の関係ですか…

黒柳:湿気で伸び縮みすると、キシッと音がしたりしますね。デンマークの家具もちゃんと作られているのですが、より日本の気候に合わせて調整しています。

参加者:新しい家に入れた家具が音を出したりしますけど、なんなのでしょうか。

黒柳:新しい家に家具が行くと、そこの湿気に馴染もうとして伸びたり縮んだりするんですよ。馴染むまでに3,4年かかることも。

参加者:割れちゃう家具もありますよね。

黒柳:伸び縮みしても、割れないようにとめるというのが、本来の家具の造りかたなのです。無理して造ったのは割れたりします。

参加者:家具ではないんですけど、建物の壁はどうなのでしょうか。

黒柳:壁は合板が多いですよね。合板は基本的にそんなに動かないのです。
昔の廊下って、板同士の間にちょっとだけ隙間がありましたよね。あれは伸び縮みしてもいいように、くわえ込んでいるのです。
伸び縮みしたときにうまくスライドするようになっているわけです。欠き込んでいるので床下が見えるということはないし、隙間風も入ってこないのです。
外壁で下見板張りというのがあります。少しだけ重ねて板を張っていくのですが、あれも同じ理屈です。


参加者:これは瑕の補修ですか。

黒柳:なにか物を落としたらしくて凹んでいましたが、そこを埋めて周囲の模様とうまく接合できる薄い板を張ります。
いろいろな模様があるので、その中からうまく繋がるものを探してくるわけです。それをあてがいながら、どのくらいの位置から切り出せばいいのか確認して貼り付けています。

引率者:みなさん、そろそろ時間です。


元浜町にある同社のお店
お店のほうは関内の第2合同庁舎の前にありますので、そちらで出来上がった家具をご覧になっていただくということで、次の場所に移動します。












(つづく)

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